不登校-悩む心、抱える心 

1.精神発達の流れ
2.不登校のあれこれ~不登校の意味するもの~
3.不登校の経過と症状
4.親にとっての「不登校」の意味
5.親のかかわり方、心構え

1.精神発達の流れ

母子共生の時期→
0~3ヶ月
母子二者関係→
~一歳半
父母子三者関係3歳~         →集団との接触~5歳 集団との関係→
~小学校
自立への試行→
中学校高校生~
基本的信頼安心感 自己と他者の認識 エディプス期 自我確立準備期 自我同一性
確立期
抱っこ・授乳
おむつ・微笑返し
離乳・脱おむつ
始歩・言葉
父母への挑戦
父母への取り入れ
他者との共生
競合

成功と失敗の体験
集団の中の自分
自分とは何か
性的めざめ
(異性)
  第一次 反抗期 第二次 反抗期

発達の進み方

子どもとは、、、。   保護されるべき存在であり
             独立していくべき存在であります
そこに生まれながらに持つ矛盾があります
発達はこの両極を揺れ動きながら、その時々の発達課題を乗り越えながらやがて「自立」へと展開していきます。

前の課題 →発達課題→ 次の課題
退行    ←      →自信・反抗
<分離不安・自立不安>         <競争心・向上心>

 

2.不登校のあれこれ~不登校の意味するもの~

(1)不登校とは
社会レベル(集団的人間関係の課題)からの一時的な撤退、退却
「これ以上は無理」-そうした対処や選択ができるだけまだ健全と考えられる。
→統合失調症や摂食障害などでは「懸命に」登校してしまう姿をよく認める

(2)不登校の類型

社会恐怖型 乳幼児期より手がかからず、大人しく自己主張はせずに後追いタイプの交流~自己の形成不十分で、家庭レベルで再度自己形成が必要
息切れ型 乳幼児期よりまじめで優等生的評価を受けてきた子が急に失速~期待される自己と内面的な自己の葛藤~自分探しの休養が必要
自己中心型 乳幼児期より利発早熟で、他児より一歩リードし、勝気で強気な交流~対人関係での傷つき経験不足から、自己が肥大化しており、適当な集団での修練が必要
現実逃避型 乳幼児期より手をかけて育てられ、転ばぬように配慮されてきたか、あるいは乳幼児期から手をかけられずに育ち、あまり期待されずに成長した~自分に自信がなく、きつい現実が眼前にくると、逃避してしまう~他人をどれだけ信じられるかにより、家庭レベルから集団レベルの育ち直しや修練が必要
老成型 乳幼児期より、知的には高くマイペースで、同年代の交流を余り好まない(分裂気質的)~学校・登校に疑問を持ち、マイペースな人生を主張
怠学型 無気力型・非行型

3.不登校の経過と症状

(1)心気症的時期 身体症状: 疼痛:頭痛、腹痛
消化器: 嘔気・嘔吐、食欲低下、下痢
全身: 気分不快、倦怠感、疲労感、発熱
その他: めまい、咳(喘息発作)、肥満
(2)不登校顕在期 問題行動: 不登校、生活の乱れ
(3)攻撃的時期 問題行動: 乱暴な言動、他罰的言動、暴力
孤食傾向
精神症状: 不安、焦燥、敏感、抑うつ
(4)内閉的時期 問題行動: 昼夜逆転、引きこもり、無為、無気力
精神症状: 敏感、抑うつ、被害的思考、強迫傾向

 

4、親にとっての「不登校」の意味

(1)家族のライフサイクル

原家族
男の子→男性⇒
夫婦 父親⇒夫⇒夫婦に戻る
母親⇒妻⇒夫婦に戻る
男の子・女の子⇒男性・女性⇒新家族を作る

原家族
女の子→女性⇒

(2)「不登校」を前にした親の不安と混乱~そして再生

a、 育て方の失敗?-「親失格」?の不安と絶望

b、 自分自身の親と自分との関係の問い直し(自分の思春期の再現)

c、 「不登校」の意味を受け入れるまで

d、 親としての役割、力量を試す機会

e、 社会の矛盾、人生や幸せについて、考え直す機会

 

5、親のかかわり方、心構え

(1)子どもの性格特徴や発達状況(弱点)を十分に把握する
  ~好ましいと思われる性格が実は弱点を隠す為に突出していることがある

(2)親としてこれまでどのような考えを持って子どもに接してきたかを振り返ってみる
  ~子どもの性格や発達状況に見合っているか冷静に見直してみる

(3)自分自身と親の関係を見つめ直す
  ~親自身の親子関係が、子どもの養育に大きな影響を及ぼしていることが多い

(4)「親」であることを覚悟し、一貫性を保つように努める
  ~一貫性を保つためには、「夫婦連合」を強固にする

(5)「子ども」は子ども、「親」は親
  ~愉しみや生き甲斐を探す。いきいきと生きている後姿。また親としての愚痴を吐き出せる場所を確保する

(6)「こうあってほしい」(希望)、「こうあらねばならない」(建前)から、できるだけ自由になる
  ~「生きていれば何とかなる」という楽観論は、どんな状況でも子どもを支える

(7)子どもの状況を理解したら、徹底的に(あきらめて)信じる
  ~信じられることは「信じられる」と伝え、信じられないことは「信じられない」と伝える

(8)歯痒さに耐え、「待つ」姿勢で腹を括る
  ~今現在ではなく、5年、10年先を思い浮かべてみると、少しゆとりが持てる

2005年03月31日