連携から見た児童精神科クリニックの現状とこれから

発達障害研究第42巻2号(日本発達障害学会)

要 旨:当院では,精神保健福祉士の一人を学校コーディネーターとして配置し,教育,福祉,保
健行政,司法機関等との連携を積極的に行ってきた.また,研修会や勉強会を立ち上げ,各機関に
声をかけて子どもをめぐる顔の見える地域のネットワークづくりを進めてきた.そうした連携を通
して,診察場面ではうかがい知れない患児の学校での状況や家族の生活状況等について情報収集で
きることで,治療や支援の方向づけがしやすくなった.また,研修会や勉強会を継続し,実際の連
携を協働するなかで,関係者の中にケースを多面的,重層的に理解して支援にあたる様子が見えて
きた.幼児期や児童期早期に医療から離れてしまい,二次障害が進展して再受診として戻ってくる
ケースが毎年目につく.こうしたケースが支援のネットワークから溢れ落ちず,二次障害への進展
を予防できる工夫が今後必要である.地域に根ざした児童精神科クリニックであるからこそ,連携
の旗振り役を担うことができると自負している.

本文はこちらから

2022年08月24日